自己破産は、借金の返済が困難になった方が、生活を立て直すための法的な手続です。

裁判所から免責が許可されれば、原則として借金の支払責任を免れることができます。ただし、すべての支払いがなくなるわけではありません。財産や保証人などに影響が生じる場合もあります。

自己破産を検討するときには、次のような点をあらかじめ確認しておくことが大切です。

1 自己破産をしても支払いが残るものがあります

「自己破産をすれば、すべての支払いがなくなる」と思われている方もいますが、そうではありません。

例えば、

  • 税金や一定の社会保険料
  • 養育費や婚姻費用
  • 一定の損害賠償債務
  • 罰金など

については、免責許可を受けても支払義務が残る場合があります。これらは「非免責債権」と呼ばれ、破産法253条に定められています。

特に、税金や養育費などの滞納が多い方は、自己破産をした後にもどの程度の支払いが残るのかを確認した上で、今後の生活を考える必要があります。

2 財産を手放さなければならない場合があります

自己破産をしたからといって、生活に必要な物まですべて失うわけではありません。

一方で、一定の価値がある財産を所有している場合には、破産手続の中で処分の対象となることがあります。不動産についても、所有権を失う可能性があることが自己破産の重要な不利益の一つです。

特に、

  • 自宅
  • 自動車
  • 預貯金
  • 生命保険
  • 株式などの有価証券

をお持ちの場合は、それらが破産手続でどのように扱われるのか、申立て前に確認しておくことが重要です。

3 保証人がいる借金には注意が必要です

自己破産による免責の効果は、保証人や連帯保証人まで免責するものではありません。

そのため、家族や知人が保証人になっている借金がある場合には、本人が自己破産することで、保証人に請求が行われる可能性があります。

例えば、奨学金などに保証人が付いている場合には、本人の借金について免責を受けられるとしても、保証人への影響は別に検討する必要があります。奨学金そのものは原則として免責対象になる一方、保証人への影響には注意が必要とされています。

自己破産を検討するときには、借入額だけではなく、それぞれの借金に保証人がいるかどうかも確認しておきましょう。

4 一部の債権者だけに返済しないよう注意してください

「親族から借りたお金だけは先に返しておきたい」

「長く付き合いのある取引先だけには迷惑をかけたくない」

と考えることがあるかもしれません。

しかし、支払不能の状態になった後などに、特定の債権者だけを優先して返済することは、破産手続上問題となる場合があります。

そのため、自己破産を考え始めた後は、自分の判断で一部の借金だけを返済する前に弁護士へ相談することをお勧めします。

5 財産を隠したり、名義を移したりしてはいけません

自己破産をすると財産を失うかもしれないと考え、

「自動車を家族名義にしておこう」

「預金を家族に渡しておこう」

などと考える方がいるかもしれません。

しかし、破産手続では、財産の内容や過去の処分についても確認されます。

財産隠しや虚偽の説明などは、免責を判断する際の問題となり得ます。免責不許可事由には、財産隠しや虚偽説明、一定の偏った弁済などが含まれます。

財産について心配がある場合こそ、自分で処分する前に相談してください。

6 すべての借入先を申告する必要があります

破産を申し立てる際には、原則としてすべての債権者を正確に申告する必要があります。

例えば、

「親からの借金は破産に入れたくない」

「友人には自己破産を知られたくない」

という理由で特定の借金を意図的に申告しないことは避けなければなりません。

知りながら債権者名簿に記載しなかった債権については、免責の効果が及ばない場合があります。

消費者金融やカード会社だけでなく、親族、友人、勤務先などからの借入れがある場合も、相談の際に弁護士へお伝えください。

7 浪費やギャンブルによる借金でも、最初から諦める必要はありません

借金の原因に浪費やギャンブルなどが含まれている場合、免責の判断で問題となることがあります。

もっとも、免責不許可事由があるからといって、必ず免責を受けられないというわけではありません。破産に至った経緯やその後の事情などを踏まえ、裁判所の裁量によって免責が認められる場合があります。

そのため、

「ギャンブルで作った借金だから自己破産できない」

などと自分で判断して、相談を諦める必要はありません。

借金が増えた経緯についても、できるだけ正確に弁護士へ説明することが大切です。

8 一定の資格・職業に影響する場合があります

自己破産の手続中には、法律上、一定の資格や職業について制限を受ける場合があります。

すべての仕事ができなくなるわけではありませんが、ご自身の職業によっては事前に確認が必要です。

仕事への影響が心配な場合には、破産を申し立てる前に弁護士へ職業を伝えてください。

自己破産を考え始めたら、自己判断で動く前に相談を

自己破産を検討している場合に大切なのは、申立てをする前の行動です。

特定の人だけに借金を返したり、財産を処分したり、債権者を申告しなかったりすると、その後の破産手続に影響する場合があります。

反対に、

「財産があるから自己破産できない」

「ギャンブルによる借金だから免責されない」

「仕事を辞めなければならない」

など、自己破産について必要以上に心配されている方もいます。

自己破産による影響は、その方の借金、財産、職業、家族関係などによって異なります。

そのため、インターネット上の一般的な情報だけで判断するのではなく、自分の場合に何が問題になるのかを確認することが重要です。

千葉市で自己破産についてお悩みの方へ

おゆみ野法律事務所では、千葉市を中心に、自己破産をはじめとする借金・債務整理のご相談をお受けしています。

自己破産をするかどうかについて、相談する前に決めておく必要はありません。

借金の額、収入、毎月の生活費、所有している財産、保証人の有無などを確認した上で、自己破産が適切なのか、ほかの方法を検討できるのかを一緒に考えます。